いきいき音楽科

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なぜジャズでは「ツーファイブ」が好まれるのか【疑問編】

お疲れ様です! いきくんです。

今回は「ツーファイブ」に関する「何故?」に切り込んでいきます。疑問編とありますが、実際には予備知識編です。

 

はじめに

皆さんは「ツーファイブ」あるいは「ツーファイブワン」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

ジャズをやっている人や、作曲に興味のある人にとっては馴染みの深い言葉だと思います。

緊張から解決へ向かう、ジャズのスタンダードナンバーではかなりの頻度で登場する定番のコード進行のことですね。

 

ダイアトニックコード

まずはこちらをご覧ください。 

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これはキーがCメジャーの時、このキーに存在する音のみを重ねて作ることの出来る7つのコードの一覧です。

言い方を変えるとCの音階上のコードということになり、これらのコードをCの「ダイアトニックコード」と呼びます。

キーがCの曲では、主にこれらのコードから曲が成り立っているのです。

 

これらをコードのタイプで分類すると、

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となります。

 

一般的に明るい響きを持つとされるメジャーコードと、暗い響きを持つとされるマイナーコードおよび不安定な響きのディミニッシュコードに分けられます。

 

主要三和音とカデンツ

ダイアトニックコードの中でも特に大事なコードが3つあります。

それは先ほどの分類の左側。I、IV、Vの3つのメジャーコードです。

このI、IV、Vは「主要三和音」と呼ばれ、作曲をする上で核となるコードです。

 

ちなみに、大抵の理論書では「そういうことなので覚えてください」といった書き方がされていますが、これにもちゃんと理由があるのです。

それはまた後ほど説明するとして、今のところはメジャーキーの主要三和音だから全部メジャーコードなんだな、と思って頂ければ大丈夫です。

 

この主要三和音、曲を形作る上で、それぞれが役割「機能」を持っています。

 

I:トニック、とても安定した性質を持つ。

V:ドミナント、とても不安定でトニックに進みたくて仕方がない性質を持つ。

IV:サブドミナント、ドミナントほど不安定ではないがトニックより展開感がある。

 

言葉で説明するとしたら、こんな具合ですね。もちろん人それぞれの表現方法があって良いと思います。

また、和声学を基礎から学ぶとすると、進む方向や条件が色々決まっていたりするのですが(ただし現代はもう例外だらけです)、ポピュラー音楽においてはその辺りは自由です。

 

とにかく、この3つのコードが核となって曲が作られているということはお分かり頂けましたでしょうか?

 

そして、曲の中によく登場するのが以下ような、サブドミナントがドミナントに進み、ドミナントがトニックに解決するという一連のコード進行。

(カデンツの第2型として知られているやつです。)

 

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例えば「ふるさと」の、「(IV)ふーるー(V)さー(I)とー」の部分なんかもそうですね。

 

吹奏楽部の方は、基礎合奏で「カデンツの練習」と称する練習をしたことがあるのではないでしょうか?

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学校によって違いがあると思いますが、こんな感じのやつです。

母校では意味も分からずやってましたよ(笑)

 

余談ですがカデンツはドイツ語、カデンツァはイタリア語で本来どちらも終止形を意味するのですが、

日本ではカデンツは終止形、カデンツァは協奏曲の即興パートを指すことが多いようです。

ちなみに今回はポピュラーの視点から解説しているのでケーデンスと言うべきなんですけどね。

言語の混同はややこしい(汗)

 

セブンスコードの場合

ここまでは全てトライアド(三和音)を前提にしてお話ししてきました。

トライアドとは文字通り、音を「ド、ミ、ソ」と3つ重ねて出来るコードの事です。

 

ですが、ジャズで主に使われているのは「ド、ミ、ソ、シ」と4つ重ねてよりキャラクター性が増した、セブンスコード(四和音)と呼ばれるコードです。

 

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こちらは、ダイアトニックコードを四和音にしたバージョンです。

 

トライアドからセブンスコードに変わると、響きの性質はもちろん変わりますが、機能的な部分は同じです。

トニックはImaj7、サブドミナントはIVmaj7、ドミナントはV7が代表となります。

 

(VがV7となったことでトライトーンが生まれ、より強い解決感を得られるようになりました。)

 

ところでI、IV、V以外のコードの話を全然していませんが、彼らは存在価値のないモノなのでしょうか?

もちろん、そんなことはありません。I、IV、Vはあくまでキーにおける各機能の代表。

他のコードも同じようにトニック、サブドミナント、ドミナントに分類することが出来るのです。

 

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このようになっております。

 

機能の同じコード同士は置き換えても同じ働きをします。

つまり本来Cmaj7が来るところでAm7を使用してもやはりトニックとして響くということですね。

このようなAm7をCmaj7の「代理コード」と呼んだりします。

 

補足ですが、IIIm7をきっぱり「トニックです」と言ってしまうのがジャズ理論とクラシック和声の相容れない部分ですので、混乱されないようにお気をつけ下さい。

 

さて、先ほどのサブドミナント→ドミナント→トニックというカデンツを思い出して下さい。これをセブンスコードで置き換えると、キーがCの場合、

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ということになりますね。

ところがこの進行、ことジャズにおいては、実はあまり見かけません。

サブドミナントであるFmaj7は代理コードであるDm7で置き換えてしまうケースの方が圧倒的に多いのです。

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実際に一般の方にも馴染みあるジャズスタンダードを例にコード進行の一部を紹介すると、

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(※キーは分かりやすいように全てCにしてあります。)

 

トニックコードの前はものの見事にIIm7-V7ですね。

というわけで、このようなコード進行を「ツーファイブ」または解決まで含めて「ツーファイブワン」と呼んでいるのです。

 

今回はここまで!

かなり詰め込みましたが、いかがでしたでしょうか?

なんとびっくり、予備知識の解説だけでこの文章量になってしまったので、今回も前後編に分けて、続きは次回お届けしたいと思います!

 

ここまでの内容を整理すると、

 

・ダイアトニックコードというものがあり、その中のI、IV、Vがそれぞれトニック、サブドミナント、ドミナントの代表。

 

・IV→V→Iという解決の動きは非常によく登場するが、ジャズではサブドミナントを代理コードにして、IIm7→V7→Imaj7となることが多い。

 

ということでした。

 

「なぜジャズでは「ツーファイブ」が好まれるのか」解答編はかなり濃い内容になっておりますので、是非とも懲りずにフォローして頂ければと思います!

それでは今回はこの辺りで。

 

(2019/04/07)解答編出しました!

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