いきいき音楽科

アメリカ在住音楽家いきくんの発信基地。ジャズを中心に、音楽理論、作編曲、アニソン、音楽哲学まで幅広く惜しみなく情報をシェアしています。

【3つだけじゃないよ!】「マイナースケール」という言葉の誤解

お疲れ様です! いきくんです。

今回は「マイナースケール」についてのちょっとややこしいお話です。

 

マイナースケールは3つ?

音楽について多少勉強したことのある人は、

「マイナースケール」と言われたら、「ナチュラルマイナー(自然的短音階)」「ハーモニックマイナー(和声的短音階)」「メロディックマイナー(旋律的短音階)」の3種類を思い浮かべることでしょう。

 

もちろん、この3つのことを指して「マイナースケール」と呼ぶことも間違ってはいません。

 

ただし、より広い意味では「3番目の音が、主音と短3度の関係にあるスケール」が「マイナー系のスケール」すなわち「マイナースケール」ということもできます。

 

特に、コンテンポラリーな音楽を考える際は、「マイナースケール=3つ」という概念に縛られると理解できない部分が出てきます。

 

チャーチモード

たとえば「ドリアン」。

これは「1、2、♭3、4、5、6、♭7」というスケールで、「メロディックマイナーの7が♭したもの」と同じであり「メジャースケールを2番目から始めたもの」と同じです。

 

いずれにしても、今回大事なのは「1」にくる音から見て、「3」が♭している(短3度)かどうかです。

そうなると、「ドリアン」もマイナー系のスケールの一種ですね。

 

ここで、「え、ドリアンってモードじゃないの?」と思った人がいるかも知れません。

この辺りは、日本語としての「モード」の定義が本来の意味と若干ずれているので難しいところですが、

「スケール」とは単純に「音の階段」のことを指す言葉です。

 

いわゆる一般的なメジャースケールやマイナースケールであろうと、チャーチモードであろうと、「音の階段そのもの」のことは「スケール」と呼びます。

 

(※チャーチモード(スケールとして)とモード(音の集まりとして)とモーダルハーモニー(トーナルハーモニーの対となるシステム)は全て違うものを指す言葉です。)

 

ということは、フリジアン、ロクリアンも「スケールとして」はマイナー系のスケールですね。

 

マイナースケールを制覇する

7つの音でマイナースケールを作る場合、

 

・1=主音なので固定

・2=♭のみ(#すると♭3と同じ音)

・♭3=マイナーを決定づけているので固定

・4=#のみ(♭するとメジャーの3になる)

・5=♭、#ともに可能

・6=♭、#ともに可能

・7=♭のみ(#すると1と同じ音)

 

が考えられます。

 

また、当然それぞれのスケールは作曲する際のペアレントスケールにもなり得るし、インプロヴィゼーションにおけるコードスケール(アヴェイラブルノートスケール/オプショナルスケール)にもなり得ます。

 

一口に「マイナースケール」と言っても、伝統的な和声のルールに従わないジャンルであれば、これだけの可能性があるのです。

 

ちょっと意見も言わせて

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中級者ほど、こういう可能性が盲点となっていて、「理論に縛られる」という勘違いをしてしまったりします。

 

また、脱中級者レベルの人(上級者の一歩手前)ほど、こういう「ツールとして」の理論の使い方に対して「正確には云々」「定義上は云々」と言いたがって自分で自分を縛っているように思います。

 

これはもちろん「勉強すべきことはちゃんと勉強する」前提ですが、それ以上に、

僕たちが音楽家であるならば、創造性を失ってはいけないし、ツールとしての理論の再構築に対して常に開かれているべきだと僕は考えます。