お疲れ様です! いきくんです。
突然ですが、みなさんは「イキスギコード」という言葉をご存知ですか?
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イキスギコードでググってみた
僕は半年前くらいからネットで情報を発信するようになって、「どうもニコニコ動画やアニソン界隈でこの言葉が流行っているらしいぞ」ということを知りました。
(名前から若干親近感を覚えたりもしました)
とはいえこんな言葉、仮にも音楽を専門的に勉強して音楽で生活しているけれど、これまで聞いたことがなかったわけで、
はじめは「なんかよくわからんけど盛り上がってんのねー」くらいの感じで、特に調べたりもしませんでした。
とはいえ、Twitterのタイムラインであまりにも頻繁にイキスギコードというワードが出てくるので、
「流石に知らんとなあ……」
と思って3日前くらいに初めてゆゆうたさんの動画を見たんですね。
で、解説動画とか灼熱スイッチとか一通り目を通して、なるほどなるほど、と。
(転載が多いのでどこにリンクを貼るか迷ったんですが、とりあえずご本人のコミュニティを貼っておきます。)
こういうの、とってもいいことだと思います。
あ、ちなみにイキスギコードの理論的な解説は、後日また別の記事でします。
一応先に言っておくと、これは「特別に新しいサウンド」というわけではありません。特に僕のようなジャズを専門にしている人間からすると、この手の音づかいはインプロ中に頭の中で普通に鳴っていたりします。
それがJ-POPやアニソンで効果的に使われていたんだねっていう話。
音楽界には誰がいるのか
ただ、それが分かっていてもなお、僕は今日までこの流行りに乗っかることのできなかった自分を恥じました。
一応専門家のはしくれとして白状すると、僕たちはこういう「界隈のちょっとしたバズ」みたいなものを、軽視していたように思うのです(もちろんしていない人もたくさんいるとは思いますよ!)。
若手の音楽家の中には、「プロとアマに明確な境界線を引きたい」という意識が強い人もいて、こういう盛り上がりに対して、
「ようはこういうことでしょ、別に珍しくもないじゃん」とか、
「自分は自分の音楽をやるだけ。アマチュアの世界とは距離を置く」とか、
そんなようなことを言っている人もいるようです。
もちろん、そういう人のロジックも理解できます。僕も昔は、「昔ながらのプロフェッショナル論」に価値を感じていたことがありました。
とはいえ、昨今の音楽不況。
ともすれば「ダウンロード販売」や「違法アップロード」「握手券商法」なんかが悪者にされがちです。
いや、違法アップロードは純粋に悪ですが。
でも、僕たち音楽家の側が「誰がわざわざ音楽にお金を払うのか」をちゃんと分かっていなかった、ということもあるような気がします。
心のどこかで、音楽の「業界」とか「界隈」は昔からあって、この先も無条件にずっと続くものだと思っている。
「自分が」そこに入れてもらって、「自分が」プロの音楽家であることが最優先。
でも僕は、僕らひとりひとりが音楽界そのものをつくる一員である、ということを忘れてはいけないな、と最近思うのです。そしてそこには自分のほかに誰がいるのかにも目を向けるべきじゃないのかな、と。
で、たしかにイキスギコードは、特別に新しいものでもないし、言葉が独り歩きしている感はあります。
ですが、田中秀和さんの作った神曲のコード進行に惹かれた人間がいて、その人が圧倒的なカリスマ性とネーミングセンスをもって「イキスギコード」という言葉を広め、それが音楽を楽しんでいる人たちの間で盛り上がっている。
これってすごいことです。
こういう現象や、かつての「歌ってみた」「演奏してみた」「ボカロP」の盛り上がりは、僕らの世界に今も変わらず音楽があるということを証明する尊いものではないでしょうか。
もちろん皆がみんな、こういう盛り上がりと直接絡んでいく必要があるとは思いません。
ですが、あんまり斜に構えず、こういうイキスギコードのバズみたいなものを、もっと大切にしていける音楽家が増えたらいいなあと、自戒を込めてそんなようなことを思いました。
今日の記事はあくまで今この瞬間の僕の個人的な思いです。
考えが違う人もいるだろうし、僕自身1週間後には全然違うことを考えている可能性もありますが、とりあえず、備忘録的に書いておきました。
イキスギコードの理論的な正しい解説は、また後日記事にしますね!
最後までお読みいただきありがとうございました。