お疲れ様です! いきくんです。
楽器をやっていると悩む問題のひとつに、「練習メニュー」の立て方がありますよね。
はじめに
趣味で個人的に楽器をやっていると、そもそも何を練習したらいいのかよくわからなかったり、
吹奏楽部で個人練習の時間に何から手を付けるか迷ってしまったり、
練習内容に関する悩みは色々あると思いますが、今回は個人練習に行き詰まりを感じているとき、絶対にしてはいけないことと、本当に効率のいい練習への取り組み方をご紹介します。
練習内容の引き出しは大切?
趣味でやっている人は、プロの演奏家が書いたブログ記事やツイートが役に立つかも知れません(ただしネットにはデタラメな情報も溢れているので、全てを鵜呑みにせず、情報元には充分に気を付けましょう。)
吹奏楽部の人は、先生や先輩から課題を出されたり、演奏会やコンクールが近くて、練習しなければいけない曲があったりもしますよね。
レッスンに通っている人は、場合によっては「俺の言う通りにやれ。それ以外のことはやるな。」という古風な先生の可能性もありますが(個人的にはそういう先生はちょっと遠慮したいですが)、
そうでない場合も、今自分に何が足りていないのか、どういう練習方法があるのかを教えてもらえる機会になりますよね。
このように、「そもそも何を練習したらいいのか分からない」状態から「自分の足りない部分と、具体的な練習内容」をまず知るということは、たしかにとても大切なことです。
ただし!
ここまでは、ある程度がっつり楽器に取り組んでいれば、すぐに辿り着けます。
そして、このように「やるべきこと」を増やしていくというのは、実はちょっと危険なことだったりします。
伸び悩みを感じとき、絶対にしてはいけないこと
レッスンで課題を出されたり、部活でやらないといけないことがあったり、ネットで情報を集めたり……
練習のタスクが自分の中に溜まってくると、ついやってしまうことがあります。
「最近、練習したいことが色々あるな。次の土曜はたっぷり個人練習の時間を取るぞ! 〇時~基礎練習をして、〇時~先輩に指摘されたタンギングの練習をしよう。あと、耳が悪いことに悩んでいるから、〇時~この間ネットで話題になっていた音感トレーニングをやってみよう。時間が空いたら〇時まで、今度の演奏会でやる曲のおさらいをするぞ!」
え、すごく計画的に練習メニューを決めているから、良いことじゃん!
と思った方、ご注意ください。
実はこのように「計画的に」練習メニューを組み立てることこそが、伸び悩みからなかなか脱却できない原因かもしれません。
音楽において、僕らの成長を妨げる最大の要因、それはズバリ、
マルチタスクです。
マルチタスクはダメ、絶対。
ここで言うマルチタスクは、1週間、1か月という長いスパンで考えたときのマルチタスクです。
「今日はこれを重点的にやって、明日はこれを重点的にやって、明後日は……」という練習計画の立て方は完全にアウトです。
マルチタスクは集中力と、練習の継続性を著しく低下させます。
例えば管楽器をやっている人。
音色に悩んでいたり、イントネーション(音程)の悪さに悩んでいたり、指が回らなくて悩んでいたり。
課題があると、それを解決するための練習方法を知ろうとしますよね。
そして練習方法を知ると、つい「あれもこれもやらなきゃ」というプレッシャーに迫られます。
このプレッシャーはひとつひとつの練習に対する集中力に悪影響を及ぼします。
何か一つのことを練習していても、頭の中では他の課題の事を考えてしまう。
そして、集中力が低いままその練習を終えてしまう。
「今日やらなかったこと」は焦って次の日の練習計画の中に入れてしまう。
そうこうしているうちに、計画的に色々やっているつもりなのに、1か月たっても2か月たっても相変わらず同じことで悩んでいたりする。
そんな経験、ありませんか?
楽器の練習では、ある程度の期間ひとつのことに集中して継続的に取り組むことが何より大切です。
計画的に時間を区切って練習するというのは、一見効率がいいように見えますが、これをやっていると、
「出来ない」が「出来る」になり、「出来る」が「当たり前」になる。
という音楽において最も重要なプロセスの効率ががた落ちしてしまうのです。
本当に効率のいい練習方法とは?
色々なことを同時進行でさばいていけたら、確かに効率がよさそうに感じますよね。
ですが、音楽でそんなチート技は使えません。
例えば「G♭メジャースケールがパッと吹けない」人は、今日から2週間余計なことは考えず、ひたすら「G♭メジャースケール」を練習するぞと決めて下さい。
2週間毎日、必ずです。
多分、2日目までは、出来なくて苦しむでしょう。脳が疲弊することでしょう。
3日目くらいに、とりあえずゆっくりなら出来るようになります。
1週間も続けたら、さすがにもう「わからない」ということはなくなります。
2週間も続けたら、当たり前のように吹けるようになっていることでしょう。
(もちろん、個人差はあります)
さて、その間「音程が悪い」とか「音色が悪い」とか「練習しないといけない曲がある」とか、そんなことは気にしないでください。
あれもこれも気にして、あれもこれも中途半端に2週間を過ごしても、結局どれも大して成長しません。そして2週間後も相変わらず「G♭メジャースケールが吹けない自分」がそこにいます。
ですが、2週間「G♭メジャースケールだけ」を練習すれば、その先にいるのは「少なくともG♭メジャースケールは吹けるようになった自分」です。
これはとても大きな違いです。
しかも、「G♭メジャースケールが吹けない自分」から「吹ける自分」への変化は、他のタスクにも影響を与えます。
例えば、2週間前の自分には「難しくて吹けない連符」があったとして、その連符が「G♭メジャースケール」で書かれているものであれば、2週間後の自分はわざわざそれを練習する必要がなくなります。
スケールの練習課程で音色や音程にも少なからず変化はあります。
あれもこれもとタスクだけ増やして細々とした練習計画を立てるよりも、のびのびした気持ちで、ひとつの「出来ない」を「出来る」に変える練習を優先した方が、はるかに効率がいいのです。
おわりに
今回の記事には統計データに基づく科学的な根拠や、似たような別のトピックもたくさんありますので、また折に触れてこのブログで紹介していきますね!
また、今回の記事は「何も考えず運動的に練習を続けるべきという精神論」や「出来るようになってからも同じことを惰性で続ける」というようなことをオススメしているわけではないので、そこは誤解しないでくださいね。
とにかく、伸び悩みを感じていて、練習メニューに悩んでいる人は、「難しいことは全部忘れて、何かひとつのことに1週間~1か月ひたすら取り組む」ということをしてみて下さい。