お疲れ様です! いきくんです。
ジャズのアドリブに興味のある皆さんこんにちは!
昔やってたアメブロで書いた中で、評判の良かった記事をこちらに再投稿します。
書いた当時、ミュージシャン仲間からも「あれいい記事だね」と度々言われたものなので、きっとジャズのアドリブができるようになりたいと思っている方のお役に立てると思います!
はじめに
さて、今回はかなり冒険したタイトルでのブログ投稿となります(笑)
ネットの普及した現代、ジャズという分野においても、この手の胡散臭いブログ記事はたくさん存在しますよね。
アドリブが出来ないと悩んでいるそこのあなた。このような記事に惹かれて逸る気持ちで読んでみては、「結局何も出来るようにならないじゃないか……」と落胆するまでがテンプレだったりしませんか?
はい、まさしく僕がそうでした。
ジャズを始めてみたはいいけれど、アドリブが全然出来るようにならない。
セッションでは頭が真っ白になって、テーマが終わるともう何を演奏したら良いのか分からない。音を出すことすら出来ない。やがて今どこをやっているのかも分からなくなる。
好きで始めた筈なのに、気付いたら時間ばかりが過ぎて、アドリブが出来るようになる気配が一向にない。
僕は今、過去の僕と同じ苦しみを味わっているあなたのためにこの記事を書いています。
どうせ聞こえの良いことばかり書いて、ためになる情報は何一つ載ってないんだろうと思っていませんか?
あるいは「アドリブ出来るぜ」っていうあなた、「そんな方法ねーよ」「地道にやるしかねーんだよばーか!」と思っていませんか?
ご安心下さい。
これからお話しすることを最後まで正確に読み解き、理解し、実践したそのとき、あなたはアドリブが出来る人に生まれ変わっています。
誰でも、出来るようになります。
地道な練習は大切です。というか一生練習です。それは当たり前。でも、その地道な練習はアドリブが出来る人になってからも続くもの。まずは出来る人になってからでも遅くはないのです。
正直、こんなマル秘情報をブログに載せるかどうか迷ったんですけどね。
これ人に伝えるときはちゃんと僕の名前と一緒に拡散してくださいね(と、いかにも胡散臭そうなことを言ってみる笑)
アドリブとはそもそも何か
酒を飲んだミュージシャンが集まって、そもそもアドリブとは何であるか、という話を始めると、朝になっても結論は出ません。
人によって今の自分になるまでのプロセスも、好きな音楽も違うので、当然一人一人の哲学があるのです。
ですが、そんな音楽的で、芸術的で、抽象的な考え方とか、小難しいアドリブ論とか、プレーヤー毎のアプローチの違いについて考えるのは後にしましょう。
そんなものは出来るようになった後からいくらでもついてきます。
今はなりふり構わず、まずアドリブが出来る人になることを優先してしまいましょう。
アドリブについての考え方は人によって違っても、ジャズの演奏における自分のアドリブソロパートにおいて、誰もが必ずやっていることがあります。
自分が何を演奏するのかを(頭で考えているかどうかは別にして)「選択」して「実行」しているのです。
優秀なプレーヤーはそりゃもう凄まじい処理速度でその場で最も適切な「選択」をして、洗練された演奏技術をもとに「実行」しています。そんなレベルになるのはまだまだ先ですが……
「選択」と「実行」が今回のキーワード
ちなみに出来るようになればなるほど「選択」と「実行」のラグが限りなく小さくなって、そのプロセスを自覚しなくなっていきます。
「選ぶ」というより「分かる」といった感じになってくるのです。
「感覚でやるんだよ」「聴こえたモノを吹けば良いんだよ」ってタイプはこの最たる例ですね。
実践編「これでアドリブ、出来ます 」
アドリブをするということは、アドリブパートにおいて演奏内容を「選択」し「実行」すること。
僕は今、個人の哲学の話はしていません。
「アドリブとはかくあるべき」とかそういう類の話ではなくて、事実の話をしています。
よって、この事実をなぞった時、あなたは紛れもなくアドリブをしているということになる、この理屈は大丈夫でしょうか?
さあそれでは実践編です。
まずは好きな曲を一曲選んでください。基準はこうです。
1、テーマをよく知っている曲
2、コード進行も覚えていると良いが、コードの知識がない場合は、なんとなく全体の流れを体で覚えているくらいの曲
始めたころの僕にとってそれに該当するのは「枯葉」と「メモリーズオブユー」と「世界は日の出を待っている」でした。なんともクラ吹きらしいラインナップですよね(笑)
皆さんは何でしょう。やはり「枯葉」でしょうか?
「酒バラ」「アナザーユー」「ブルース」なんでもいいですよ。
マイナスワンがある人はセットしてください。ない場合はYouTubeで検索すると出てきます。もしくはコードを演奏できる友達に協力してもらうのもアリです。
準備はできましたか?
それでは、以下の指示をしっかり理解して、演奏してみてください。
いざ、実践!
(1)まず1コーラス、テーマを演奏します。
(2)次のコーラスからがあなたのアドリブソロです。今あなたが100%、確実に出来る「選択」をしてください。その「選択」とはズバリ、すべての小節において、あるいは拍において、休符を演奏するということです。
(3)その「選択」を、ロスト(どこをやっているかわからなくなること)せずに継続できるコーラス数「実行」し続けてください。
(4)戻りたくなったところで後テーマに戻って、演奏を終えてください。
以上です。
意識して欲しいのは、曲は常に進行しているので、「休む」のではなく「休符を演奏する」ことによって、ちゃんとその流れについていくことです。
伴奏によく耳を澄ませ、落っこちないように気を付けて下さい。
どうでしたか? ちゃんと出来ましたか?
これで、今までアドリブが出来ないと悩んでいたあなたは、その悩みを解消することが出来ました。たった今アドリブが出来たのです。
なんだよ騙されたーーーー!
という声が聞こえてきそうですね(汗)
でも、ちょっと待ってください。
大事なことです。
もう一度言いますが、あなたはたった今アドリブが出来たのです。
自分の意志で休符を演奏するということを選択し、その通りに実行しましたよね。
これはまさしくアドリブ中に誰もがやっていることです。
「でも、これじゃ音が出ていないから何が何だかわからない!」
「CDで聴いてかっこいいと思っていたあの演奏と全く違うじゃないか」って?
そうです、その通り。
あなたは今までアドリブが出来ないことに悩んでいたのではありません。
良いアドリブが出来ないこと、イメージ上のプロのような演奏が出来ないこと、適切な選択が出来ないことに悩んでいたのです。
たしかに、全てにおいて休符を演奏するだけというのは、選択として「適切」ではありませんね。
なぜならそれでは、一緒に演奏している人や、聴いている人に、言いたいことが伝わりにくいからです(ジョン・ケージを否定しているわけではありません笑)。
ジャズのセッションでは「伝える」ということがとっても重要なのです。
でも、あなた自身はどうでしょう?
少なくとも「休符を演奏するぞ」という意思はあなた自身の中にはあり、それをその通りに実行できましたよね。
これまでのあなたはそもそもこの「選択」も「実行」もできていなかった、あるいは不完全に終わっていたのです。
でも今あなたはついにそれを完遂しました。これは非常に大きな一歩です。後は選択肢を増やし、人に伝わるものに変えていけば良いだけなのです。
これが分かったあなたはもうアドリブの出来ない人ではありません。
今この瞬間から《良い選択はまだ出来ないけれど》アドリブの出来る人に、ワンランクアップしたのです。
基礎練習をして、コピーをして、セッションで沢山失敗して、是非良いアドリブの出来る人になって下さい。
どんなアドリブが良いアドリブなのかは人によっても、場面によっても異なりますが、一緒に演奏している仲間や聴いてくれている人に「伝える」という気持ちだけは忘れないで下さいね。
ちなみに今回は分かりやすくするために「アドリブ」と言う言葉を用いてきましたが、個人的には「インプロヴィゼーション」と言う事の方が多いです(使い分けてます)。
これ本当に意味あるの?
僕はこういった発想の転換を糸口に、負のスパイラルから抜け出すことが出来ました。
練習も俄然楽しくなりましたし、ジャズを続けて良かったと思っています。
過去の僕と同じような悩みを抱えている人にも、そこから脱却して是非楽しくジャズを続けて欲しいという思いで今回の記事を書きました。
もちろん、これは僕と同じようなタイプの人間にとって有効な方法というだけで、人によってはあまり意味のないことかも知れませんし、こんな回りくどいことしなくてもどんどん出来るようになってしまう羨ましい人はいくらでもいます。
最初に「誰でも」と言ったのはちょっとビッグマウスだったかも知れないですね。
「こんな事考えなくても、とにかくコピーを続けてればある日ふと出来るようになるんだよ」という意見もあると思います。
それを言えるあなたはそれで出来るようになった人です。
そういう人は口をそろえてこう言います。
「いつまで経っても出来ない人が何故いるのか全然わからない」「考えて練習してないからでしょ」と。
本当にそうでしょうか?
この最初の一歩さえ踏み出せれば後はどんどん出来るようになる、後は自分で考えて練習できるようになるだろうな、という人は僕の目から見てたくさんいます。
でも、その一歩の踏み出し方が分からず去って行ってしまうは少なからず存在する。
それはとても不幸なことではないでしょうか?
みんなが当たり前のように喋っている日本語も、足し算も引き算も、最初の一歩は誰かに後押ししてもらっている筈なのです。
もちろんこの先本気で続けていく人は甘いことを言っていてはいけません。
苦しいこともたくさんあるでしょう。
それでも、この一歩で一緒に音楽を楽しめる人の数が増えるのならば、それは素敵なことだと思うのです。
勘違いのないように言っておくと、コピーはとても大切です。
して損をすることは当然ないし、絶対にするべきです。
僕も何も出来ない頃からコピーはそれこそ数え切れない程していました。
ただ、それが活きてくるベースがもともとある人はそれだけで出来るようになりますが、ない人は作るしかありません。
逆に、一度作ってしまえばその後は同じ土俵に立つことが出来ます。それだけのことなのです。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
今回はやや奇をてらった構成になってしまいましたが、これで丸投げというつもりはありません。次のステップに関する記事も必要に応じて書いていこうと思いますのでお楽しみに!
この先のステップはもちろん膨大で、奥が深く、地道な練習を要します。
ですが、アドリブをする姿勢は今回とまったく変わりません。休符以外の選択を増やしていくだけです。
アイデアがなかったり、怖がったり、パニックになって何も演奏できないということは、今回は無かった筈です。ちゃんと冷静に、休符を演奏しましたからね。今後もこの基本となる姿勢を忘れないようにしてください。
なお、この話の肝は、「意思を持って出来ることを選択する」という部分にあります。ただ「出来ないなら休めば良い」という話とは少し違います。音を出す勇気もとても大切です。
分からなかった点、他のアプローチを知りたい、自分の場合はこういうことで悩んでいる、などお気軽にご相談ください。僕に可能な範囲でお答えしますし、レッスンも受け付けています。
編集後記
いやあ、2年くらい前の記事なんですが、いいこと言ってますね、これ書いた人。
僕? もしかして僕??
2年前の僕は「マル秘情報」をブログに載せるか迷ったらしいですが、今はロジックがあるので迷わず載せます。アドリブに関するいろいろな記事はこのブログでこれからどんどん増やしていくので、また是非覗きに来てくださいね!